見舞い

●病気見舞いの気配り

 短期の入院ならともかく、長引く病気はつらいものです。いつもより敏感になっている本人や家族の心を思いやり、無神経な言動はくれぐれも慎みたいものです。看病で疲れている家族を助けるのも大切な見舞いですから、出向く前に自分に何ができるか考えてみましょう。話題にも注意します。病気の知識の押し売り、病院や医師の批判、不吉な話はタブーです。大勢で押しかけたり、付き添いの人とひそひそ話をしたり、同室者に迷惑をかけたり……。
 病状が不安定なときは家族に見舞いに行ってよいか相談します。手術の前後は当然避けますが、家族の返事がはっきりしないときは、自宅あてに見舞いの品を送るか、見舞状を出すくらいにします。本人が望まない見舞客は病人を疲れさせるだけですから義理だけのお見舞いはやめます。
 気のおけない相手なら、何度でも足を運ぶのが一番の慰めになります。一回の見舞いは十五分程度にし、手みやげは本人の喜ぶものを選びましょう。好物や手作りの惣菜、写真集や画集、CD、本、花など、病状に合わせて考えましょう。気になっていること、たとえば子どものようすや仕事などを報告したり、肩代わりしてあげるのも大切です。経済的に苦しそうなら、現金か商品券をお見舞いにします。
 見舞いの品では、鉢植え、椿、シクラメン、香の強い花、傷みやすい食物(夏季)、置き場に困るものなどは避けたほうがいいでしょう。切り花は日持ちするものを選び、花びんをつけます。

●快気祝い

 床上げ祝い、床払い祝いともいいますが、快気祝いは重かった病気の全快を内輪で喜ぶことです。喜びの心をお世話になった人にも配る「内祝」であって、見舞いのお返しではありません。ハンカチ程度のささやかな品を、心配をかけた人に届ければいいのです。水引きは紅白の結び切りにし、表書きは「快気内祝」にします。
 病気見舞いにわざわざお返しをするのは、逆に先方の好意を無にすることです。お見舞いをいただいた人には内祝いの品に添えて、感謝と報告の手紙を送りましょう。先方に何かあったとき、今度はこちらが礼を尽くし、役に立つよう心がけます。

●事故・火事・災害見舞い

 突発的に起こることですから、すぐ連絡をとるか、かけつけることが大切です。必要なものを買い調える、身内や関係者への連絡、留守番、子どもや年寄りの世話、諸手続き、炊き出しなど、できることを申し出るのが何よりです。
 風水害や火事の場合は、当座必要なものを提供します。不用品の整理ではありませんから、なるべく新品に近いもので余っているものを届けましょう。水につかったり煙でいぶされたものは、形はあってもほとんど捨てざるを得ません。子どもの衣料や学用品、食物、毛布、新しい下着、タオルや雑巾、ゴム手袋などは緊急に必要です。また地域的な災害でなければ現金を白封筒に入れ、「御見舞」と上書きして贈ります。若い人の場合は労力奉仕を申し出るのもいいでしょう。
 当事者には「お互いさまだから」と、気持ちの負担とならない接し方をしたいもの。当事者はお見舞いのお返しは生活を立て直すことと心得、めどがついたら報告とお礼の手紙を出します。