神前結婚式

 神前結婚式の歴史は浅く、明治三十三年の大正天皇の御成婚の儀から普及したものです。神社での挙式はごく一部で、多くは式場に備えつけの仮神殿で行われています。
 式次第は式場によってやや変わりますが、係員から説明がありますから、指示に従えば大丈夫です。三十分前後ほどかかります。

【式次第】
・入場
 定刻に係員が迎えに来ます。両家はそれぞれ新郎新婦を先頭に、両親、家族、親族の順で並び、係員の先導で入場し、着席します。

・修祓(しゅうばつ)
 一同が着席すると雅楽が奏され、斎主(さいしゅ)、斎員が入場します。斎主とは式を司る神職のことで、斎員はその補佐をする神職で、巫女(みこ)があたります。
 儀(式の進行係)が開式を告げ、続いて斎主が修祓(おはらい)により一同を清めます。一同は頭を少しさげるようにして修祓を受けます。

・献餞(けんせん)
 献餞とは神に供え物をすることです。酒、塩、水、果物、稲などを供えますが、器の口を開くといった動作で象徴するにとどめる場合もあります。

・ 祝詞(のりと)
 奏上 斎主が神に二人の結婚を報告し、幸せを祈ります。一同は典儀の指示で起立し、頭を軽くさげて祝詞を聞きます。

・三献(さんこん)の儀
 三三九度ともよぶ夫婦のちぎりを結ぶ杯事(さかずきごと)です。新郎新婦のいずれから飲み始めるかは、式場によって異なります。巫女から杯を受け取り、酒をついでもらったら、二度口につけ、三度目で飲み干します。これを新郎新婦で交互に三度、一献二献三献で合わせて九度繰り返します。お酒を飲めない場合は口をつけるだけでかまいません。

[新郎から始める場合の順序]
小杯 新郎→新婦→新郎
中杯 新婦→新郎→新婦
大杯 新郎→新婦→新郎

・誓詞(せいし)奏上
 新郎新婦は神前に進み出て、結婚の誓いを読み上げます。新郎が音読し、新婦は自分の名前をつけ加えるのが一般的です。誓詞は式場に用意されています。読み終わったら誓詞を玉串案の上に置き、顔を合わせるように内回りにまわって席に戻ります。

・指輪交換
 交換のしかたはキリスト教式と同じです。

・玉串奉奠(たまぐしほうてん)
 半紙で作った紙垂(しで)を榊につけた玉串を神に供えます。玉串を受け取ったら神前に進み、玉串の向きを変えた後、案に供え、一歩さがって二拝二拍手一拝の後、内回りで席にもどります。新郎新婦のあとは両家代表(新郎新婦の父親)がつづきます。

・親族盃の儀
 一同に神酒がつがれたら起立して三回に分けて飲み干し、親族のちぎりを固めます。

・斎主退場・一同退場
 斎主が再び祝詞をあげ、供物をさげ(撤餞(てっせん))た後、一同拝礼して式を終わります。
 退場は斎主、斎員、一同の順です。
 *式場によっては退場の前に親族紹介をすることがあります。