遺言と相続の法律

●遺言の方式

 遺言書は遺産の相続などについて判定する重要な書類です。遺品整理をしていて遺言書を見つけたら、できるだけ早く家庭裁判所へ届け、検認してもらいます。公正証書遺言以外は、封のしてある遺言書は、遺族であっても開封してはいけません。
 法的に有効な遺言書には次の三つがあります。

①自筆証書遺言
 本人が遺言全文を自分で書き、氏名を自署して押印してあるもの(自筆のみ可)。
②公正証書遺言
 もっとも確実な遺言で、公証人に遺言の内容を筆記してもらい、本人と二人の証人、公証人が署名押印したもの。
③秘密証書遺言
 本人が署名、押印し、封印したものに公証人と証人二人以上が署名、押印したもの。

 以上の三つのほかに、死のまぎわになって遺言をする場合は、三人以上の証人立ち合いのもとにつくる遺言もありますが、この遺言は遺言した日から二十日以内に裁判所の検認を受けなければなりません。

●遺言の効力

 遺言が法的に効力をもつのは、財務相続の問題、身分関係の問題、遺言そのものに関する問題の三つに限られます。
 たとえば、遺産相続の割合の指定、法定相続人を相続人からはずしたり、特定の人間に相続させたりができるわけです。また、嫡出子でない子を嫡子と認知したり、子どもの後見人を指定したりもできます。
 しかし、必ずしもどんな遺言の内容でも効力を発揮するわけではありません。そのひとつが、遺産のすべてを他人に与えることです。こうすると、法定相続人の権利を守るため、一定の分は相続人に残すよう定められています。これを「遺留分」といいます。
 しかし、遺言に残された内容は極力実行されなければなりません。

●相続人と相続の割合

 とくに遺言が残されなかった場合は、民法によって定められている制度によって、相続人と相続の割合が決められます。
 まず、相続の権利は、故人の血族と配偶者が対象となります。ただし、配偶者は常に相続の権利がありますが、故人の父母が相続できるのは故人に子がいない場合のみで、子、孫、父母、祖父母のいない場合は兄弟姉妹が権利をもちます。親などと同じ者は、何人いても均等の権利があります。
 相続の配分は次のようになります。
①子および配偶者が相続人のときは、子が二分の一、配偶者が二分の一。
②父母と配偶者が相続人であるときは、父母が三分の一、配偶者が三分の二。
③兄弟姉妹と配偶者が相続人であるときは、兄弟姉妹が四分の一、配偶者が四分の三。
 このうち、相続が開始される前に死亡している相続人で子がいる場合は、その子が相続を受けられます。これを「代襲相続」といい、父親が死亡したときに胎内にいた子でも、無事に生まれると相続できます。

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■保険金と年金

 故人が生命保険に加入していたときは、遺族は必要書類をそろえて保険金を受け取ることができます。故人が家族には内緒で加入していることもあるので、遺品の整理のときには注意したいものです。
 年金関係では、故人が厚生年金保険に加入していた場合は、遺族年金を受けられます。窓口は社会保険事務所です。
 また、遺族が国民年金に加入している場合、母子年金、準母子年金、遺児年金、寡婦年金、死亡一時金の内から一つを受注できます。窓口は市区町村役所(場)の国民年金課です。
 そのほか、各種の共済組合や船員保険の年金は厚生年金保険制度に準じています。また、故人が勤務していた場合、制度があれば死亡退職金も受給できます。