宮参り・初誕生の祝い

●宮参りは生後一カ月くらいに

 赤ちゃんが生後はじめて氏神(産土(うぶすな))神社に参拝することを、宮参りともいいます。男児は三十二日目、女児は三十三日目にするのが一般的です。地方により日取りはまちまちで、百日目に宮参りをするしきたりもあります。
 かつてはお産を穢(けが)れと考えたため、母子の身が潔まるのを待って氏神に詣でたものです。子どもを氏子にしてもらうよう、氏神様に子どもを見せるのが目的でしたから、氏神様が見落とさないよう、赤ちゃんをつねって泣かせたところもあります。
 現在では子どものすこやかな成長を神に祈る意味で宮参りをします。神道で葬儀をする家以外は、どこの神社にお参りしてもかまわないでしょう。また二人が結婚式を挙げたホテルや式場で宮参りをするのも感慨深いものです。双方の実家に相談し、しきたりを聞いてみます。日取りは生後一カ月くらいの天気のよい、母子ともに体調のいい日を選びましょう。
 しきたりで赤ちゃんに無地一つ身の着物を着せ、嫁の実家から贈られた、男児はのし目、女児は友禅の祝い着で赤ちゃんをおおうようにして夫の母親が抱いていきます。以前は神社では産婦ともどもお祓いを受け、神社からの帰りには内祝いの品を近所、親類に配りました。内祝いを受け取る側は、犬張り子やでんでん太鼓を用意し、赤ちゃんの内祝い着のひもを結んであげたりしたものです。
 赤ちゃんの祝い着を正式に調えたら、付き添いの人も、父親はスーツ、女性は無地の着物か訪問着にします。最近は、若い両親が選んだベビードレスで宮参りをする人も増えていますが、この場合は女性も洋装でかまいません。
 お礼まわりはごく近所に限らないと、母子の健康にさわります。むしろ設備が整ったホテルなどに実家の両親を招いて会食するほうが合理的といえるでしょう。内祝いを受け取る側は、お年玉程度の現金をポチ袋に入れて渡すのが一般的です。
 また神官に祝詞(のりと)をあげてもらった場合は、「御初穂料」「御玉串料」と上書きした、のし袋か封筒に現金を入れて渡します。最近では料金を明示する神社が多くなっています。事前に社務所に相談すればよいでしょう。

●百日のお食い初めの作法

 赤ちゃんのお食い初めの祝いは生後百日目、すなわち百日(ももか)に多いところから、百日のお食い初めともよばれます。一生食べるものに困らないようにとの願いをこめ、茶碗や箸などを買い調え、尾頭付きの魚をつけた祝い膳を用意します。以前は年長の女性が赤ちゃんに食べさせる真似をし、一粒でもごはんを食べさせるとよい、などといったものです。また「歯がための石」といって、小皿に丸い小石を三つ載せ、丈夫な歯が生えるようにと膳に添えるならわしもありました。
 現在では合理的にベビー食器に離乳食を用意することも、しきたり通りに親類の長寿の方にお食い初めをお願いすることもあります。内輪のお祝いですから、招待するのは双方の実家の両親ぐらいでよいでしょう。

●初正月の迎え方

 初正月には、祖父母や仲人から赤ちゃんに贈り物をして祝うしきたりがありました。男児には破魔矢(はまや)・弓、天神様の絵を、女児には羽子板などを贈るのが一般的でしたが、凧をあげて祝う地方もありました。現在では少なくなってきましたが、初正月を祝うなら金額のはらない、両親の負担にならない形でお祝いしたいものです。

●初節句のしきたり

 初誕生までの折々の節句を祝うのが初節句です。男児は五月、女児は三月の節句を祝うのが一般的ですが、地方によっては、七夕、八朔(はっさく)、初の亥子(いのこ)を大切に祝うところもあります。また「初子の初節句」といって、第一子のときだけ盛大に祝うならわしがかつては広く行われていました。
 女児は初節句に母方の祖父母が内裏(だいり)びなを贈り、親類などが道具や他の人形を贈るしきたりは現在でも行われています。
 男児の場合は鯉のぼりや武者人形を贈りますが、いずれにせよ値のはるものが多く、鯉のぼり以外が重複すると困るものです。
 住宅事情によっては、飾れないこともありますから、先方の希望を聞いて贈りましょう。ひな人形や鯉のぼりは毎年買い足していく方法がありますが、武者人形は途中で増えるのを嫌う人がいますから注意しましょう。節句の飾り物ではない人形やおもちゃをプレゼントするのも場合によっては合理的です。
 お祝いの品は、遅くとも節句の一週間前までに届けます。紅白蝶結びの水引きをかけ、表書きは「御祝」とします。
 お祝いの品をいただいたら、自宅に招待して祝い膳でもてなしてもよいでしょう。料理に決まりはありませんが、桃の節句なら五目寿司に、はまぐりの吸い物などが適当です。招待できなかった人には「内祝」を贈ります
 なお初節句の祝いを贈っていないのに招待されたら、当日おもちゃや料理などを持参するか、「御祝」として現金を包みます
 長男長女の初節句ばかり重視する傾向がありますが、下の子どもの初節句も同じように祝いたいものです。また双方とも多額の出費になるのは考えものです。
 親族一同の名で内裏びな一組を贈るとか、お祝いの寄せ書きを贈るとか、新しい初節句のしきたりをつくっていきたいものです。

●初誕生日のお祝い

 誕生日というと西欧発の習慣のように思いがちですが、満一歳の誕生日は初誕生といって、日本でも大切に祝ったものです。
 現在では家族を中心にバースデーケーキを囲んで内輪でお祝いをするのが一般的です。餅を踏ませるなどの習慣があれば、それを取り入れて行うのも記念になります。