結納

●結納の段取りと内容

 結納のかわし方にはいろいろな形式があります。現在では、しきたりに沿って仲人が両家を往復する結納は減り、一カ所に集まって行う結納が多くなっています。
 また、地域差が大きいのも結納の特徴で、関西よりも関東のほうが簡略に行う傾向があります。
 結納は吉日の午前中に行うのがしきたりともいいますが、現在では両家の都合のよい日を選びます。時間は夜にかからなければよいでしょう。土日祝日の十一時から十五時の間が一般的です。
 場所も最近では、ホテル、料亭、結婚式場などの一室を借りることが多くなっています。室内もそれなりに整えてくれますし、結納が終わったらその場で会食もできて便利です。ホテル、結婚式場の結納プランを利用するとスムーズに進行もできるでしょう。
 結納とは婚約が確定したしるしに、酒肴、衣類、現金を贈る儀式です。語源については「言入れ(いいれ)」が訛ったという説と、「ユイ(結)ノモノ」、つまり両家を結びつけるものという説があります。婚姻関係を結ぶ両家が、その結合をかためるために飲食をともにする際の酒肴、それが結納の古い姿といわれています。
 また結納に現金が加わったのは後世のことで、嫁の支度金、とくに婚礼衣装の支度金として、婿方から嫁方に贈られたものです。
 結納はしだいに結納金を中心にする儀式になりましたが、地域によっては「樽入れ」「酒入れ」「手はじめの酒」などという、古風な結納儀式があります。
 結納は家と家との正式な儀式で、このときから正式な仲人を立て、あるいは祝言の日取りを決めるのがならわしで、結納以後の破談は困難でした。

●結納品は両家でそろえる

 結納品は三品セットからありますが、よく利用されるのは七品セットと九品セットです。かつては酒肴の品として、スルメなどの現物を持参したものですが、今ではすっかり略式化されています。ホテル、結婚式場で準備できます。
 関東では結納品は両家で同じものをかわすのがしきたりで、一部の地域を除いて、品数は必ず同じにします。
 結納品は祝い台にのせて交換しますが、並べ方にも地域差があります。また、関西・九州では新郎側から新婦側へ届けるのがしきたりです。結納品の内容も異なることが多いので式場担当者に相談しましょう。

●結納金の相場

 結納金はもともと嫁の婚礼衣装の支度金として、男性側から女性側へ贈られたものです。現在でも金額の決定は男性側にゆだねられることが多く、平均は月収の二、三カ月分となっています。
 結納金の名称は、関東では「帯料」、近畿では「小袖料」「帯地料」、四国、九州では「結納料」とする地域が多いようですが、土地によってしきたりが違いますから、不案内な場合は確かめたほうがいいでしょう。
 また結納返しといって、女性側から男性側に、結納金の半額から十分の一の金額を「袴料」「袴地料」として贈るしきたりもあります。しかし最近では、半額を返すならば、男性の結納を最初から減らしておくほうが合理的だという考え方も多くなりつつあります。
 双方が虚栄を排してよく話し合いたいものです。男性が自分で無理なく出せる金額を贈るのが最近の傾向です。

●目録、受書、家族書

 目録、受書は市販のものを利用するのが一般的です。結納品のセットにも入っています。「御帯料 壱封」「御袴料 壱封」あるいは「真珠指輪壱個」などと記入し、末尾に日付と本人名、宛名を記入します。地域によっては昔どおり家宛てにする場合もあります。
 自分でつくる場合は奉書紙を横長にして折り、二枚重ねで書きます。上包みの表書きは「寿」が一般的ですが、書かなくてもかまいません。
 家族書、親族書も同様に毛筆で記入しますが、慶事ですから、できるだけ濃い墨を使ってください。家族書、親族書の体裁、記入する範囲は、両家でバランスをとることが大切です。家族書、親族書は片木盆(へぎぼん)ぼんにのせるのがしきたりです。

●結納当日の服装

 正式な結納の場合、出席するのは、本人、両親で地域によって親族代表も同席します。当日の服装は、男性はスーツで、女性は振袖か訪問着、スーツやワンピースが一般的です。両親は本人に準じた落ち着いた服装にします。
 両家の服装が食い違うことのないよう、事前にこまかく打ち合わせておきます。