●枕づとめ
遺体の安置を終えたら、僧侶を招いて最初のお経をあげてもらいます。これが「枕経」とか「枕づとめ」「臨終勤行(りんじゅうごんぎょう)」と呼ぶお経です。もともとは死んでからではなく、死の間際に仏の教えを伝えるためのお経で、「臨終勤行」というのもそこからきた呼び方です。
枕経から僧侶との付き合いが始まります。通夜、葬儀、告別式、法要と続くことになります。
枕づとめをしてもらう僧侶は、もし菩提寺が遠くて間に合わないときには、同宗同派の他の寺院を菩提寺から紹介してもらうようにします。自分の家の宗旨がわからないときは、他宗派の僧侶でもかまいません。ただし、その場合は、戒名をつけてもらうのは避けます。後日、埋葬のときなどにトラブルの原因になります。
枕経だけをお願いし、通夜以降を別の僧侶に依頼するときは、枕づとめが終わったときにお布施を渡します。
読経後、通夜・葬儀の際の導師をお願いする僧侶には、日時や戒名などの相談にのってもらい、葬儀の進行についての意見をうかがいます。
●納棺
以前は、死亡した当日の夜は遺体をそのまま布団に寝かせておき、家族や親族が故人と枕を並べて別れを惜しんだものです。
しかし、このごろは枕経をすませるとすぐに納棺することが多くなりました。悲しみは早く送り、静かに追悼の中にひたりたいという気持ちがあるのでしょう。また、当日通夜が多くなったためという実際上の理由もあります。
棺の底に、白い薄手の布団か白地の毛布、または一重衾(一メートル四方の白もめん布)を敷いて遺体を納めます。経かたびらを上からかけ、手甲、脚絆、頭陀袋など冥土への旅立ちに必要なものを添えます。
また、棺には故人が生前愛用した小物や愛読書などを入れることもあります。これは仏式に限らず行われており、出棺のときに、遺体の周囲に敷き詰める花とともに入れさせてくれるので、準備しておくといいでしょう。
火葬の場合は、金属製品や陶器などの燃えないものを禁止している火葬場が多いので、入れるのは避けましょう。