葬儀・告別式

●葬儀と告別式

 葬儀・告別式は同じ日に続けて行われるので、ほとんど同じ儀式のように思われていますが、本来は別の意味をもっています。
 葬儀は故人の成仏を祈る儀式で、近親者によって営まれます。告別式は故人と生前親交のあった人々が最後の別れを告げる儀式です。葬儀・告別式は併せて一時間ほどかかるのが一般的です。

●進行の打ち合わせ

 たくさんの人が一定の時間に集まりますから、葬儀・告別式の進行は十分打ち合わせておき、スムーズに流れるようにします。
 喪主と世話役たちは、葬儀社の係員と式次第を細かい点まで打ち合わせておきます。
 また、宗派によって式次第が多少違いますから、あらかじめ僧侶と打ち合わせておき、出棺時刻をもとに所要時間の配分を決めるようにします。
 もし、時間が予定よりオーバーするようなら、弔辞・弔電披露か焼香で調節するのが普通です。

●葬儀社を加えた打ち合わせのポイント

①遺族・親族(葬儀委員長)の挨拶内容
 この挨拶は、あとで受ける弔辞と内容が重複しやすので、会葬のお礼程度にしておいたほうがよいでしょう。
②弔辞の依頼
 故人の親友や知名士に依頼しますが、それぞれの付き合いに応じて、たとえば学生時代の故人、会社での故人などにポイントをしぼって話してくれるようお願いしておきます。弔辞が三、四本以上になると、時間枠がオーバーしてきます。
③弔電披露の内容
 内容まで読み上げるものと、発信人の氏名だけにするものの基準を打ち合わせます。
④席順、焼香順
 自宅葬の場合は通夜と同じ席順で焼香順も同じです。通夜に出席できなかった親族がいたら、どう着席するか事前に打ち合わせておきます。
 斎場などでは、葬儀の間は祭壇に向かって左右に着席し、告別式に入ったら一般焼香客のために中央の通路をはさんで向き合う形になり、弔問を受けるという方法もあります。
 また、大規模な葬儀では、あらかじめ決めておいた焼香順にしたがって、司会者が氏名を呼びあげることもあります。
⑤全体の時間配分の決定
 出棺予定時刻まで時間を割り振ってみて、オーバーするようなら、時間枠を変えるか弔辞・弔電の部分で時間を調整します。
⑥火葬場へ同行する人数
 人数にしたがって車の手配をしておきます。

●葬儀の進行

①遺族、参列者着席
 進行係の案内にしたがって、遺族、近親者、会葬者は入場、着席します。
②僧侶入場
 全員の着席が終わると、進行係が僧侶を案内してきます。一同は、イス席の場合は起立して一礼、座敷の場合はその場で一礼して迎えます。
③開式の辞
 進行係から、開式の挨拶があります。
「皆さま、本日はご多忙中のところをご参列いただきまして、まことにありがとうございます。ただいまより、故○○○○殿の葬儀を執り行います」
 自宅葬で進行係がいないときは、葬儀社の係員がつとめてくれます。
④読経
 時間は三十分から四十分程度が一般的。読経のあと、導師(葬儀に加わっている僧侶でもっとも位の高い僧)は故人に「引導(いんどう)」を渡します。これによって故人を悟りの世界に導くため、浄土真宗以外のほとんどの宗派が行います。
⑤弔辞拝受、弔電披露
「これより弔辞をちょうだい致したいと存じます」と司会者から挨拶があり、弔辞を読む人の名を呼びあげます。弔辞はふつう三人以内、時間は一人当たり三~五分以内にします。
 その後、弔電の披露に移りますが、届いたものをすべて読み上げることは少なく、二、三通を読みあげ、あとは発信人の名を読み上げるのが一般的です。
⑥導師焼香、読経
 導師が焼香し、再び読経が始まります。
⑦一同焼香
 導師か司会者から焼香開始が告げられたら、喪主から順に血縁の深い順に焼香を始めます。式場が狭いときは回し香にすることもあります。
⑧読経終了、僧侶退場
 斎場を使用した場合など、告別式に移るまでの間、僧侶は一旦退場して告別式の開始を待つこともあります。葬儀からそのまま告別式に移る場合は退場しません。
⑨閉会の辞
 閉会の挨拶があり、告別式までの間の休憩があります。そのまま引き続いて告別式に移る場合は、喪主、遺族、近親者はそれまでの席を変え、一般参列者が焼香しやすいよう、祭壇の前を広くあけます。

●告別式の進行

 僧侶の読経が始まったら、参列者は順に祭壇に進み、焼香します。遺族は参列者一人ひとりに黙礼。一同の焼香が終わると、僧侶は退場し、司会者から閉式の辞があり、告別式は終わります。
 見送る人は式場の外で待ちます。