弔問のマナー

●お悔やみの挨拶

 とりあえずの弔問では、遺族にすすめられたら部屋にあがりますが、短時間で切り上げます。
 言動は控えめにし、遺族の気持ちを察してそれに沿うことが大切です。服装は地味な平服とし、アクセサリー類は結婚指輪以外ははずします。化粧も薄くしましょう。
 遺族に対しては「このたびはとんだことで……心からお悔やみ申し上げます」「思いがけないお知らせをいただきまして、まだ信じられない気持ちです。どんなにかお力落としでいらっしゃいましょう」などと簡潔にお悔やみを述べます。頭を垂れ、声を低くするのが自然です。
 心さえこもっていれば、「このたびは……」と言葉につまって深く一礼しても十分気持ちは通じます。
 なお、遺族とは面識がない場合には、「以前○○会社でお世話になりました○○です」と簡単に自己紹介をしましょう。
 遺族と親しく話す機会があっても、病状の経過などの質問はいけません。遺族が話したいようなら聞き役に徹します。故人の悪口、死因が遺族の手落ちにあるかのような話しぶり、子どもが亡くなった家に子どもづれで行く、弔問客同士で口争いをするなどは、何が原因であっても心ない行動といわれて当然です。
 なお、「重ね重ね」「たびたび」「またまた」「重なる」など、不幸が続くことを暗示するとして嫌われる弔事の忌み言葉にも注意しましょう。神道やキリスト教で葬儀をする場合、「ご冥福」「供養」などの仏教用語は使いません。

●遺体と対面するときの心得

 遺体との対面は遺族にすすめられた場合だけ行うものです。遺体が傷ついているときや顔が変わったときにはいっさい行わないこともありますから、自分から申し出るのは遠慮しましょう。
 対面するときは、遺体の顔のあたりからやや下がった位置に座り、故人に一礼します。遺族が白布をあごのほうからめくるので、畳に手をついたまま対面し、深く一礼し、静かに手を合わせます。「良いお顔をしていらっしゃいます」「おだやかでまるで休んでいらっしゃるようですね」などと、ひと言いたわりのことばをかけるのもよいでしょう。
 対面するのがつらいときは「今の私には……」と率直に断ってもかまいません。