●香典の目的
香典は「香奠」とも書き、霊前に供える香木をさしたのが、現在ではもっぱら香のかわりに包む金包みをさす言葉になっています。通夜か告別式のときに持参します。
香典には喪家の葬儀費用の負担を少しでも軽くしたいという意味もあります。ごく親しい身内の場合は、とくに葬儀費用の負担といった意味もあります。
香典の金額が、親族、友人、単なる知り合いなど、故人との付き合いの度合いや故人の社会的地位、地方の習慣によって違います。故人が一家の主人や主婦の場合は、多めにしたいものですが、その他の場合はわが家なりの基準をある程度つくるのが賢明です。兄弟同士なども同じ立場の人で話し合ってから出すのもよいでしょう。金額が少ない場合、葬儀の手伝いをするなどの方法で補うこともできます。若い人や会社の同僚では合同で香典を用意することもあります。
なお、金額は偶数と九を避けるのがふつうです。
香典は市販の香典袋を利用するのが一般的ですが、蓮の花のついている袋は仏式以外には使えません。表書きには薄墨を使うのが正式で、中央上段に書きます。中央下段には姓名を入れますが、できれば住所まで入れるのが親切です。内袋には金額も記入しましょう。
表書きは、仏式では「御霊前」「御香料」「御香典」としますが、「御仏前」は葬儀後に使うのが適当です。神道では「御霊前」「御玉串料」「御榊料」「御供物料」、キリスト教では「御花料」「御霊前」とします。水引きは白黒、双白、双銀などの結び切りが適当です。
●香典の差し出し方
もともとは祭壇に直接供えるものでしたが、現在では受付または遺族に「ご霊前にお供えください」と言葉を添えて渡します。葬儀と通夜の両方に出席する場合は、葬儀のときに渡します。
通夜にも葬儀にもやむを得ず出席できないときは現金書留封筒を使用して郵送します。一般と同じように整えた香典袋に現金を入れ、お悔やみの言葉を書いて同封します。
●供花(くげ)を贈るときの注意
花輪を贈るのは、会社や団体、公的な立場にある個人がふつうで、個人的に花を供えたい場合には生花が適当でしょう。花輪を辞退する葬儀も増えているので、贈る前に喪家に確認します。葬儀社に手配しますが、早めに届くようにします。
生花は専門店に注文します。花かご、スタンドなどの形に整えてくれますが、飾る場所の都合もあるので通夜前までに届くように手配しましょう。喪家に問い合わせのうえ贈るのが原則です。
●供物は宗教によって異なる
供物は宗教によって供えるものが違います。仏式では線香、ロウソク、干菓子、果物などですが、仏壇を祭る習慣のない家の場合、線香やロウソクが集まると困ることもあります。神道では干菓子や果物、酒、キリスト教や無宗教の葬儀では生花以外は飾らないのが一般的。地域によっては、そばなどを供えますが、供物を辞退するケースも増えているので、事前に確認が必要です。
祭壇の供物は葬儀社のほうであらかじめ調えてあることが多くなっています。通夜までに届けますが、贈り主の名前が大げさにならないよう注意したいものです。
●香典・供物・供花の辞退
喪家や故人の意向で香典・供物を辞退することがあります。事前に問い合わせましょう。
無宗教葬やキリスト教の葬儀では、辞退することが多くなっています。プロテスタントの場合は生花だけを受け付けることがありますが、名前は出さないのがふつうです。