B仏教の葬儀



納棺まで

@僧侶に「枕づとめ」をしてもらう
遺体の安置を終えたら僧侶を招いて最初のお経を上げてもらいます。これを「枕づとめ」(または枕経、臨終勤行)といいます。枕づとめをしてもらう僧侶は菩提寺の僧侶が望ましいのですが、遠方の場合は、同じ宗旨の寺院を菩提寺から紹介してもらいます。また自分の家の宗旨が確認できてない場合は他宗旨の僧侶に頼んでも構いませんが、その場合は戒名はつけてもらわないようにします。(埋葬時のトラブルを防ぐため)

A戒名をつけてもらう
戒名は、仏の弟子となるとき、俗名を捨てたものに与えられる法名のことで、本来は生前につけるべきものです。「戒名」の「戒」は、仏の弟子が守るべき、戒律をあらわしています。
枕勤めから納棺までの間につけてもらうのが一般的ですが、自分の家の宗旨がわからない場合は、急いで戒名をつけずに、俗名で葬儀をし、その後戒名をつけるということもできます。また、生前故人が「戒名をつけたくない」と言っていた場合は、葬儀は無宗教葬で行うことになります。仏教では、仏弟子の証として、戒名が必ず必要になるからです。

●戒名の謝礼は?

戒名の格や宗派、寺によっても違いますが、本来戒名はお金で買うものではなく、謝礼も決まっているわけではないので、「お布施」として渡すものです。日頃から敬虔な仏教徒でもなく、寺とのつきあいもないのに格の高い戒名をつけてもらうのは本末転倒と言うことにもなります。まずは、僧侶に相談するのがいいでしょう。葬儀社にその旨を伝えて、間に入ってもらっても構いません。

B納棺する
以前は死亡した当日は遺体をそのまま布団に寝かせておき、家族や親族が故人と枕を並べて別れを惜しんだものですが、最近は枕づとめが終わると、すぐに納棺することも多くなりました。理由の一つには当日通夜が多くなったことも考えられます。
作法は以下の通りです。
1.家族、親族一同が遺体のある部屋に集まります。
2.全員一緒に合唱礼拝をします。
3.湯灌・死化粧をします。(病院等で死去し、遺体を安置せずに納棺して斎場に運ぶ場合)
4.仏衣をかけ、遺体を棺に納めます。
5.故人の愛用品も一緒に納めます。ただし火葬の時燃えにくいもの(ガラス、金属製品、陶器など)は棺の中に入れないようにします。

※納棺の儀は紫雲閣でお手伝いさせていただきます。

通夜

@通夜の時間
通夜のことを夜とぎともいい、故人の遺体とともに一夜を過ごし、故人をしのぶことをいいます。本来通夜は夜通し続くものでしたが、現在は夕方6時〜10時頃までの「半通夜」が多くなっています。

A通夜の準備〜進行
1.祭壇を飾る
自宅でも葬儀場でも、葬儀社が祭壇を飾ってくれます。祭壇には遺影、位牌、ロウソク、供花、香炉、線香縦などが飾られ背後に棺が置かれます。その他、故人愛用の碗で一膳飯と水を供え、愛用品や香典の包み、供物なども飾ります。

2.通夜の進行
通夜の進行は以下の通りです
1僧侶の到着
 着替えのための控え室に通し、喪主と世話役が読経の時間などの打ち合わせをします。
2一同着席
3僧侶入場
4読経
5焼香
6喪主のあいさつ

焼香の作法
1両手に数珠をかけ合唱
2親指・人差し指・中指で抹香をつまむ
3目の高さまでおしいただく
4香炉に入れる
5もう一度合唱する
6遺族に一礼する

※香をくべる回数は宗派によって違いますが、1〜3回。弔問客が多く混んでいるときは1回でもいいでしょう。

A通夜ぶるまいを行う
夜の後、着替えてもらった僧侶と残った弔問客を軽い食事でもてなす席です。
料理は昔は精進料理でしたが、今はとくにこだわりなく、寿司の出前や仕出し料理などを利用することも多いようです。喪主や遺族は通夜客が帰る時にも着座のままでよく、会釈を交わす程度で見送りには立ちません。

B通夜当日の夜の過ごし方
残った遺族や近親者は、ロウソクや線香の火を絶やさないよう、故人を守って一夜を明かします。しかし、遺族はショックと悲しみ、そして通夜葬儀などの準備で心身共に疲れているので、若い人が中心となって交代で睡眠をとりながら見守るほうがいいでしょう。
全員が寝てしまう場合は、火災予防のため、灯明や線香は消し、祭壇の照明だけを残します。

葬儀・告別式

@進行の打ち合わせをする

たくさんの人々が一同に会する儀式ですので、事前に葬儀社係員、喪主、世話役で詳細を打ち合わせておきましょう。打ち合わせの内容は、以下のようなことが考えられます。
1世話役代表(葬儀委員長)のあいさつ内容
2弔辞の依頼
3弔電披露の内容
4席順、焼香順
5全体の時間配分
6火葬場に同行する人数と車の手配
7心付けの準備
(霊柩車、送迎車の運転手、火葬場係員、休憩室の係員などに、葬儀料金の精算の時に渡します)
A葬儀・告別式の進行(例)
葬儀が13時からの場合(只今制作中。もうしばらくお待ちください。)

●葬儀と告別式の違い
葬儀、告別式は続けて行われるのでほとんど同じ儀式のようになっていますが、本来は別々の儀式です
葬儀…故人の成仏を祈る儀式で近親者によって営まれます。
告別式…故人と生前親交のあった人々が最後の別れを告げる儀式です。現在では葬儀と続けて行われることが多いのですが、弔問客の焼香より、告別式であると考えることができるでしょう。

出棺・火葬

@故人と最後のお別れをする

告別式後、故人を霊柩車に乗せるまでの間、親族や親しい友人達は、故人と最後のお別れをします。
棺の前に、喪主、遺族、近親者と血縁の深かった順に並び、特別親しかった知人、友人が続きます。
●別れ花
このとき、祭壇に供えられていた花をめいめいが一輪ずつ棺の中の故人の周りを埋めるように敷き詰めます。これを「別れ花」といいます。故人が愛用していた小物類を一緒に入れることもあります。

A釘打ちの儀式をする
●釘打ち
最後の対面が済んだら、棺のふたを閉め、釘打ちの儀式をします。喪主を筆頭に遺族、親近者と故人とゆかりの深い順に小石で一人二回ずつコツコツと軽く打ちます。小石は葬儀社が用意してくれます。この小石は三途の川の石を意味するとか、霊を鎮めるため友いわれます。
その後葬儀社の係員が、完全に釘を打ちます。
B出棺する
遺体の足元を先に向けて、遺族や親族の若い男性が運び出し、霊柩車に乗せます。
喪主は棺の前に位牌を胸に持って立ち、次の人が遺影を持って続きます。最近では遺影だけ鋸とも多くなっています。
霊柩車に棺を安置したところで、遺族は見送りの弔問客に向かって整列し、喪主が会葬者に向かってあいさつをします。(世話役代表や葬儀社の責任者が代行することもあります)


C火葬場での弔いをする
1.火葬場へ持参するもの
まず火葬許可証を忘れずに持参しましょう。火葬場での弔いをするために、位牌や遺影も必要です。また火葬には1時間以上かかります。その間、参列者は控え室で待つことになりますので、この時の接待用に菓子やつまみ、お酒などが必要です。火葬場によっては売店や喫茶室がありますのでその場合は必要ないでしょう。また火葬場係員への心付けも用意しておきましょう。

2.納めの式
係員の指示に従って、棺をかまどの前に安置します。
小机が置かれたら、その上に、持ってきた位牌と遺影を飾ります。(香炉や生花、供物などは火葬場で用意しているのが普通です)
この祭壇の前で納めの式を行います。僧侶が同伴している場合は、読経をしてもらい、一同が順に焼香しますが、最近では僧侶が火葬場まで付き添うことは少なく、一同の焼香のみで式を納める場合が多いようです。

3.「骨あげ」をする
かまどに添加されて1時間〜1時間半で、遺体は遺骨となります。家族、親族らで遺骨を骨壺に拾い上げる儀式が「骨あげ」です。
 竹箸か、竹と木を1本ずつ組み合わせた箸で行うのが普通で、二人一組で一つの骨を拾い、2,3片拾って次の組と交代します。骨は下半身から上半身へ順に拾い、最後に、舎利と呼ばれる喉仏を、いちばん血縁の深い二人が拾います。骨あげが終わると、係員が骨壺を白木の箱に納め、白い布で包んでくれますから、喪主はそれを胸に抱えて持ち、帰路に就きます。

4.遺骨を迎える「中陰壇」を作る
 出棺後残った人々で素早く祭壇を片づけ、部屋を掃除して「中陰壇」を設置します。中陰とは四十九日の忌明けまでの期間で、仏教では、人間がいったん死んでから次の世に生まれ変わるまでののことです。遺骨は49日までは埋葬しないのが一般的ですので、遺骨をおいておく小さな祭壇を作るのです。

5.清め水と塩を用意する
 火葬場から帰ってくる人たちのために、玄関先には桶かバケツ、洗面器などに水をはっておき、塩を入れた皿を上に載せて用意をします。

6.精進落としの宴席の準備をする
手作りは少なくなってきており、仕出し料理などを取ってもてなすことがおおいようです。

火葬場から帰ってきたら

○清め塩、清め水で身体を清める
家に残っていた喪家の家族以外の人が、ひとりひとりに柄杓で水をすくって両手にかけ、手ぬぐいを渡します。次に塩を正面から胸と背中にかけます。「塩祓い」だけでカンタンにすませてもかまいません。

@還骨勤行(兼初七日法要)

祭壇に遺骨を安置したら、灯明をともし、線香を上げて、僧侶に読経してもらいます。これが「還骨勤行」です。僧侶の指示があったら、喪主から順番に焼香します。
尚、このごろは、初七日の法要をこの還骨勤行と兼ねて行うことが多くなりました。
遠方の親族が再び1週間後に集まるのは困難であるという事情があるからでしょう。
初七日法要を兼ねる場合は、抹香で焼香します。

A「精進落とし」の宴を催す
葬儀が全て終了したところで、僧侶や葬儀に尽力してくれた人たちに感謝の意を表し、労をねぎらうための宴席を設けます。これを「精進落とし」といいます。
喪主、遺族は末席に座り、僧侶、世話人、友人、近親者に上座をすすめてもてなします。
宴に入る前に喪主か親族代表から、謝辞を述べます。
一同、疲れていることが予想されますので、宴席は1時間ほどでお開きにしましょう。
僧侶が宴席を辞退された場合、都合で宴に招かないときは、丁重に葬儀に際しての御礼を述べ、「御膳料」と、「御車料」を包むようにします。

B葬儀の事務処理を済ませる
葬儀が終わったらできるだけ早く、喪主、遺族は世話役から葬儀に関する事務処理の報告を受け、会計関係の確認をします。当日中に終えるのはもちろんのこと、精進落としの前に済ませると、世話役にも宴席でくつろいでもらえるでしょう。
確認事項としては、香典その他の入出金精算、会葬者名簿、名刺、供物控え帳、弔辞、弔電綴りなどです。
また、世話人が諸費用を立て替えていることも多々ありますが、世話人からは言い出しにくいので、喪主からきちんと確認をするようにしましょう。

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